『市民連合が実現を目指す政策』に関する野党4党の考え方

四年間続いた安倍政権の下、我が国の立憲主義、民主主義は大きく脅かされている。アベノミクスは日本経済の持続的成長をもたらすことなく、格差を助長してきた。
民進党、日本共産党、自由党、社会民主党の野党四党は、昨年の参議院選挙にあたり、①安保法制を廃止し、集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回、立憲主義を回復する、②アベノミクスによる国民生活破壊、格差と貧困を是正する、③TPPや沖縄問題など、国民の声に耳を傾けない強権政治を許さない、④安倍政権の下での憲法改悪に反対する、との内容を共有・確認し、また、昨年6月7日に市民連合から提出された『野党4党の政策に対する市民連合の要望書』を受け止め、さらには昨年の通常国会で、介護、保育、雇用、被災者支援、男女平等、LGBT(性的マイノリティー)差別解消をはじめとした15本の議員立法を共通の政策として共同提案し、全力で戦った。
野党四党は、これらの到達点、さらに早期の衆院解散・総選挙は十分にあり得るという前提のうえに立って、できる限りの協力を進めることで合意している。今般、『市民連合が実現を目指す政策』についても、その現状認識及び基本理念を十分共有できると確認した。
今こそ、安保法制を廃止し、立憲主義を回復するとともに、個人の尊厳と基本的人権の保障を進めることが求められている。自由民主党の憲法改正草案のように立憲主義と平和主義を脅かす憲法改正は認められない。アベノミクスからの転換を進め、すべての人間に尊厳ある生活を確保するための社会経済政策を実現すべきである。
今後も、安倍政権の打倒を目指して政策面や国会活動における四党間の協力を進めていく。

四年間続いた安倍政権の下、我が国の立憲主義、民主主義は危機に直面している。アベノミクスは日本経済の持続的成長をもたらすことなく、格差拡大を助長し、人口減少を放置してきた。
民進、共産、自由、社民の四党は、早期の衆院解散総選挙は十分にあり得るという前提に立って、できる限りの協力を進めることで合意している。そのうえで、市民連合が実現を目指す政策について四党政策実務者による協議を進めた結果、以下のような考え方を共有することを私たちは確認した。

1. 国民生活の安定と「分厚い中間層」の復活に向け、社会経済政策を転換する
(1) 子育て・教育・若者
〇就学前教育から大学まで、すべての教育について原則無償化をめざす。
〇保育施設の拡充、保育士の賃金引き上げ等を通じて待機児童をなくす。
〇安倍政権が放置してきた子育て・教育への投資を劇的に拡大することにより、教育の機会平等と質の向上、持続的成長の実現、雇用の創出、女性の社会進出、人口減少対策等を後押しする。
(2) 雇用・働き方
〇残業代ゼロ法案の成立を阻止するとともに、インターバル規制を含む長時間労働規制法を早期に成立させる。
〇同一価値労働同一賃金の実現など非正規労働者に対する待遇の差別を禁止する。
〇最低賃金の大幅引き上げなど、賃金・労働条件を改善する。
(3) 社会保障等
〇国民皆保険制度を維持し、年金の最低保障機能を強化する。
〇介護労働者の賃金など待遇を改善するなど、介護の充実を進める。
〇働き方や性別等に中立的かつ公正な社会保障制度、税制を確立する。
(4) 女性・ジェンダー
〇選択的夫婦別姓を実現する。
〇政治分野で候補者割り当てクオータを導入する。
〇包括的な性暴力の禁止に向け、性暴力被害者支援法を制定する。
〇LGBTに対する差別解消施策を盛り込んだ法律を制定する。
(5) 地域活性化
〇霞ヶ関目線で効果の上がらない地方創生を掲げ、カジノによる地域振興に迷走する安倍政権と対峙し、地方の自主性を尊重した公正な地域活性化を進める。
〇農家に対する所得補償制度を法制化する。

2. 原発ゼロを目指し、エネルギー政策を抜本的に転換する
(1) 原発ゼロを目指す
3.11を原点として新しい日本のエネルギー政策を構想する。
(2) 省エネルギーの徹底
断熱の徹底、廃熱の有効利用等をすすめ、世界一の省エネ社会を実現する。
(3) 再生可能エネルギーの飛躍的増強
太陽光発電や風力発電への支援、ソーラーシェアリングの大幅拡大等を進める。
(4) 地球温暖化対策の推進
国際社会に通用する中長期数値目標を設定し、地球環境・生態系の保全を進めるとともに新産業と雇用の創出につなげる。

3. 立憲主義を守り抜き、平和を創造する
(1) 立憲主義と平和主義を脅かす憲法改悪の阻止
自民党の憲法改正草案は、立憲主義に反し、基本的人権の尊重や国民主権、そして平和主義という基本的価値を脅かすものであり、これを基礎とした改定、特に平和主義を破壊する憲法9条の改悪を阻止する。
(2) 2015年安保法制の白紙化
安倍政権下で強行された安全保障法制は立憲主義と平和主義を揺るがすものであり、その白紙撤回を求める。
(3) 戦略的なアジア太平洋外交の推進
同盟国である米国を含め、近隣諸国、関係国との対話を促進し、地域における信頼醸成に努める。
(4) 沖縄の基地負担の軽減
沖縄の民意を踏みにじって基地建設を強引に進める政府の姿勢は、容認できない。沖縄県民の思いを尊重しながら基地負担の軽減を進める。
(5) 情報公開の推進と報道の自由の回復
安倍政権下で後退した情報公開と報道の自由は、民主政治の基盤であり、危機感を持ってその推進、回復に取り組む。

以上

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市民連合からの野党4党への要請

4野党が通常国会において安倍政権による国家の私物化に対して果敢に戦っていることに、市民連合は深い敬意を表します。
昨年12月の4野党と市民連合の意見交換会において、市民連合は共通政策の骨子を提案し、その場で幹事長、書記局長から基本的に共有できるという反応をいただいたところです。その後、全国各地で野党と市民の協力を求める運動が広がり、市民連合のメンバーもそのような運動の集会に赴き、野党結集、野党と市民の共同の機運を高めるために尽力してきました。
このたび、4野党から政策の基盤となる共通認識の骨子について見解を示していただきました。通常国会の多忙な日程の中、認識の共有のために努力してくださった4野党の方々に、市民連合はお礼申し上げたいと思います。また、市民連合の目指す政策について、その基本的な方向性を共有していただいたことに、感謝申し上げます。政策実現までの道筋やスピードについては各党間、および政党と市民連合との間で差異はありますが、現段階で作る共通認識は、野党と市民の共闘を進める際の道しるべとなるべきものであり、総選挙の際に政権交代を迫るための政策の手前の、基本的な方向性を示すもので十分だと考えます。
野党結集を図るうえで、具体的な候補者の選定にはまだ長い話し合いが必要だと思われます。解散総選挙の時期が不透明になる中、市民連合はこれからしばらくの間、全国の運動において共有すべき政策を具体化する作業を進めたいと考えています。今回ご提示いただいた共通認識の骨子は、全国の野党と市民の協力を目指す市民に大きな勇気を与え、各地での運動を加速すると確信しています。
市民連合は、目前の重大事である森友学園疑惑の究明、共謀罪に対する反対運動の展開についても野党と市民の共闘を広げ、人間本位の民主政治、立憲政治を取り戻すために、4野党とともに努力したいと決意を新たにしています。今後とも引き続き野党と市民の協力を強化していきたいと願っています。

2017年4月5日 安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合