総選挙をめぐる意見交換会を開きました

2019年3月27日、総選挙をめぐる意見交換会を持ちました。その報告です。

7月の参議院選挙と、あるかもしれない同時選挙(衆議院選挙)、さらに5月の区議選、区長選をめぐって、何ができるか、何をすべきか、広範に活発な議論がなされました。

その結論として

1)安倍政治を終わらせる立場から、衆議院選挙(小選挙区)での立憲野党の統一候補の実現をもとめる足立アピールを発信する。そのことで7月参議院選挙での市民と野党共闘の前進につなげる。

そのアピール原案をつくり、メールで示し、意見を求め、4月18日(木)の市民連合あだち意見交換会(午後6:30、千住介護福祉専門学校)でまとめあげる。

その後、各政党への申し入れを行う。

2)区長選についてはいろいろな動きを見守り、あらたな動きが出た段階で議論する。区議選については市民連合としては、特に取り組みをできないので、各候補の奮闘に期待する。

3)憲法学習会の署名行動(4月5日、17日、いずれも5時、北千住駅西口)に参加する。

12月18日に第1回「足立区長選の学習会」を開催

12月18日に第1回「足立区長選の学習会」を「市民連合足立」主催で、千住介護福祉専門学校で開きました。

「足立区政をどう見るか、問われる課題」と題して

  • 元足立区長・吉田万三さん
  • 立憲民主党13区支部長北條智彦さん
  • 足立区議会議員。日本共産党区議団幹事長ぬかが和子さん

三名をレポーターとしてお話を聞き、その後ディスカッションを行いました。

▼元足立区長の吉田さんは、区長時代(1996年~1999年)の経験をユーモアたっぷりに話されましたが、区長は大統領制に似て(二元代表制)その権限は強く、区の職員は総て区長の部下と言うこと。吉田さんは、福祉政策に重きを置きましたが、財政問題から区議会の不信任案が提出されました。

♢吉田氏は足立区長就任後、《高齢者福祉》の拡充をめざした。しかし足立区議会の与党は日本共産党のみであったため、3年間の足立区長在任中は終始苦しい議会運営を迫られた。

1999年、統一地方選挙を間近に控え、足立区議会が吉田の《不信任決議案》を提出し、賛成多数で可決した。このため吉田氏は区議会を解散したが、区議選を経ても少数与党の情勢は変わらず、区長を失職した。(以上)

在任中の北千住駅の開発事業では、国からの補助金が50%ほど出たが、天下りのコンサル業者を使わないと補助金が出ないと言う秘話を話されました。そして、社会保障費は国からの補助金は一切出ず、区の財政ですべて賄わなければならないと言うことでした。

吉田区長は福祉政策に重点を置き、区の財政圧迫ということで不信任されましたが、国の補助金制度とは、開発事業にはお金を出すが、人の為の政策にはお金は出さないと言う事の様です。

▼立憲民主党の北條さんは、「足立区の財政」について詳しいレポートを作成され、財政問題から区政を考えて行きました。

▽平成29年度普通会計決算

  • 歳入→2789億(歳入の36%を都区財政調整交付金に依存)
  • 歳出→2713億(54%は人件費、扶助費、公債費で、生活保護費や児童手当等の扶助費は歳出全体の38、7%を占める)
  • 区の預貯金残高は1523億

※ちなみに、平成28年度の国家予算(一般会計)の使い道は約100兆円で、 ①3割以上を占めるのが社会保障関係費です②その次に多いのが国債費、③地方交付税交付金となっています。(以上)

財政調整交付金が歳入に占める割合が36%と大きく依存した状況から脱することが出来ないのは問題だと言うのが区の見解ですが、これについてはぬかが和子さんが『財政調整交付金は、東京都全体として見るのであり、各区毎に独立した地域と考えるべきものではない。足立区はベッドタウンとしての役割を担っているので、企業が集中する都心地区と比較して、歳入の割合が少ないのは当たり前の事でしょう』と反論されていました。問題は何処の区でも似たようなものなのでしょうが、生産年齢(15~64歳)人口の比率の縮小です。年少者(0~14歳)比率が低止まりなのに比べ、高齢者(65歳以上)比率が右方上がりですから、生産年齢人口が低くなるのは当たり前です。

→この問題は日本だけでなく、先進国間の大きな問題でもあります。

歳出における他区との比較の中で、人件費が23区中3位と低いが区では、「指定管理者制度、技能系職員退職不補充、保育園民営化により平成2年に比して2,300人の職員削減に取り組んできた」と自慢気ですが、人件費を削って歳出を減らす事が、誇れることでしょうか。

この問題の底流には、《公共施設の民間委託》《自治体民営化による公共サービスの質的な問題》つまりは、指定管理者制度、PFI法、構造改革特区など国家主導の新自由主義経済政策=「小さな政府」構想が見え隠れしている様に感じられます。

ディスカッションのときには参加者から

『公務員を減らすのではなく、もっと公務員を増やすべきだ。それにより歳出が増えたとしても、充分な公共サービスを受けられるなら、区民は税金を増やしても文句は言わない』

と言う意見がありましたが、これには北條さんも頷いていました。

財政面から考える、足立区の課題としては ①扶助費の増大→外部委託、扶助適用の厳格化、「協創」プラットフォーム ②老朽化した公共施設の整備→コンパクトシティー化、エリアデザイン(集約化)、民間資本の活用 などを上げていますが、ぬかが和子さんは『エリアデザインについては、もう多くの施設で実現している。学校を放課後開放して、遊び場やこども食堂にしたり、集会場に活用している。いまの近藤区長は吉田区長時代に取り組んできた、住民や障害児との直接対話、区長への要望書の取り上げをやめてしまった。近藤区長はまた、集団的自衛権、憲法改正、教育勅語を復活させようとする、自民党の支持を受けている区長と言う事です』

私的には、いまモンダイになっている水道民営化の様な市民の「生活と命」に関わる公共施設を、お金のために企業に委託するのか否か、という点に注意をして行きたいと思います。

♢安倍政権は、公共サービスの「産業化」や窓口業務の外部委託の「加速化」をはかっています。

自治体アウトソーシングは、かねて業務委託の方式で進められてきましたが、この十数年、PFI法、公の施設の「指定管理者」制度、地方独立行政法人法、「特区」法など、新たな法制度で急激に進められてきました。経済界の「ビジネスチャンス」を拡大する一方で、公共サービスの担い手は非正規労働者におきかえられ、サービスの質にも深刻な影響が広がるなかで、公共サービスの質の確保や担い手の権利確保の努力もされてきました。(「自治体民営化と公共サービスの質」尾林芳匡著より抜粋)

→総務省の地方行政改革方針(2005年度)と自民党の《新憲法草案》(2005年度)は類似する。新自由主義的な「小さな政府」を目指すということ。

この「足立区政を考える会」第2回目は近々また、行いたいと思います。

             文責 瀬田